折花姫(6)
冬。神の川の水は凍り、あたり一面まっ白な雪にうずもれました。姫とばあやは肩をよせあって眠りました。
春そして夏。山も木も草も、けものも川の水も魚もみんなみんなはずむように動きます。
姫は、ばあやといっしょに洗濯したり、食事をつくったり、くるくると働きました。
「そのおけは私が持ちましょう。」
めっきり白髪の増えたばあやをかばって、水の入った重たいおけをすすんで運びました。
秋。十五夜の月の光が、姫とばあやにふりそそいでいました。
「こうして月を眺めていると、追われていることも忘れてしまいそうじゃ。ながくながくこのしあわせがつづきますように。」
「ばあやも姫さまとごいっしょにいつまでも暮らしとうございまする。」
そんな二人の様子を、武将は目をうるませて見守るのでした。

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