折花姫(7)
なにごともなく月日は過ぎていきました。
山の中の暮らしにも慣れ、折花姫は、年ごとに美しくなっていきました。
ある日、姫は大好きな神の川の水に手をひたしていました。
「おまえはどこまで流れていくの。きっと遠いところまで旅をするのでしょうね。」
そっと足を入れました。そのとき、
「あっ」
ぞうりの片方が水の流れにのって、岩の間を縫うように流れ去っていきました。暗い影が、目の前をすっと横切りました。

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