折花姫(4)
十五才になったばかりの折花姫は、供の者に背負われて、姫次山から、かざまき山の尾根を越えてきました。はるか下を神の川が、岩にぶつかって白いしぶきをあげながら流れています。ここは裏丹沢の神の川です。
「ここまでくれば安心じゃ。よし、あの川の向こうに小屋をたてて住むことにしよう。人のはいれぬこの山奥なら追手の目も届くまい。折花よ、もう少しの辛抱じゃ。」
父の武将は、疲れはててぐったりとしている姫にやさしく言いました。

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