くしかわ姫(6)
満月の夜がくるたびに、若君が笛を吹き、かたわらでじっと耳を傾ける姫君の姿があった。笛の音は、時には高く、時には低く、心にしみ入る音をひびかせた。その音は、川のせせらぎにのって、静かに静かに流れていった。
月の光の中で、二人はとてもしあわせそうに寄り添っておった。
こうして若君と姫君は互いに深く信じあい、愛しあうようになったと。

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