くしかわ姫(4)
御殿の中から、琴の音が松の梢をとおして静かに聞こえてきた。
「なんとやさしい音色だろう。」
しばらく耳を傾けていた若君は、やがて琴の音にあわせるように笛を吹きはじめたと。
琴と笛の調べはしっとりととけあって、澄んだ夜のしじまを流れていった。
村のしゅうは、そっと戸を開けてうっとりと聞きほれたそうな。
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