くしかわ姫(3)
月の光がこうこうと輝く晩のこと、若君は笛を吹きながら足の向くままに川上へと進んでいった。
「川の上の方には何があるんだろう。」
若君は胸をはずませながら夜露をふみふみ歩いていった。
しばらくして御屋敷というところに着いた。橋を渡ると、目の前にそりゃあ美しい御殿が月の光をあびて建っておったと。

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