雛鶴姫(14)
姫たちをあたたかく迎えてくれた津久井の青山村では、親王の三十三年忌に、お経(法華経)千部をおさめて、供養塔を建てました。
これを千部塚といい、いまも古い塚の上に宝きょう印塔が昔をしのんで、ひっそりとたっています。

雛鶴峠の麓に  樹齢三百余年の二本の老松
人はこれを共の松と呼ぶ
姫を守って旅した苦難の道を  曲がった太い幹が  張り出した固い枝が
浮き上がった根が  時を越えて語りかける
風にのって歌が聞こえてくる
なれぬわらじに血潮がにじむ  御子を身ごもる雛鶴姫よ
おいたわしいぞえ松葉にのせて  こえる時雨の  こえる時雨の  峠路七里

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