雛鶴峠の麓に 樹齢三百余年の二本の老松 人はこれを共の松と呼ぶ 姫を守って旅した苦難の道を 曲がった太い幹が 張り出した固い枝が 浮き上がった根が 時を越えて語りかける 風にのって歌が聞こえてくる なれぬわらじに血潮がにじむ 御子を身ごもる雛鶴姫よ おいたわしいぞえ松葉にのせて こえる時雨の こえる時雨の 峠路七里
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